建設会社従業員だった70代男性が自殺したのは「精神障害による業務上の疾病」として遺族補償などの不支給処分取り消しを求めた訴訟で、福井地裁は4日、精神障害に起因するとして処分を取り消す判決をしました。
「中日新聞プラス」によると
大野市のダム工事現場で、土砂崩れに巻き込まれて事故に遭い、その後、自殺した同市の中村輝明さん=当時(71)=の妻梅子さん(71)が、事故と自殺の因果関係を認めるよう労働基準監督署や国に求めていた裁判で、福井地裁は四日、原告の主張を認め、遺族補償の不支給処分取り消しを命じた。
判決では、夫は自殺の五カ月前から外科的原因がないのに体に痛みを伴う精神障害「身体表現性疼痛(とうつう)障害」を発症していたと認定。「疼痛障害は業務上の疾病に当たるといえ、これに起因して死亡したことは明らか」と指摘し、「業務外の疾病とした処分は違法」と取り消しを求めた。
原告側弁護団によると、裁判で疼痛障害を労災と認めるのは初めてという。事故による疼痛(とうつう)障害が自殺の原因と、司法が認めた。福井市大手二丁目の県教育センターで四日開いた報告会で、弁護団の海道宏実弁護士は「障害は事故とは無関係と言われ、泣き寝入りしている人に希望を与える」と意義を強調した。