妊娠を理由に降格されたのは男女雇用機会均等法に反するとして、広島市の病院に勤めていた理学療法士の女性が、運営する広島中央保健生活協同組合に損害賠償などを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は、上告審弁論を9月18日に開くことを決めました。
出産や妊娠を理由にした解雇などのいわゆる「マタニティハラスメント(マタハラ)」の問題が注目されるなか、最高裁が妊娠した女性を降格させたことの是非について初めての判断を示すと見られます。
この裁判は、広島市の病院で働いていた女性が、妊娠したため負担の軽い業務を希望したところ、副主任の役職を外されたことについて、「男女雇用機会均等法で禁止されている妊娠を理由にした不利益な扱いに当たる」と主張して病院側を訴えているものです。
一、二審判決によると、女性は2004年に勤務先のリハビリテーション科の副主任に就いたが、第二子を妊娠した2008年に外され、育休取得後の翌年に別の部署へ異動になりました。一審広島地裁は、女性が軽い業務への転換を希望していたことを理由に「副主任を免じたことは女性の同意を得ており、裁量の逸脱はない」と請求を棄却し、二審広島高裁も「管理職の任免は使用者側の経営判断に委ねられている」と違法性を否定したため、女性が上告していました。
この裁判について、最高裁は、今年9月に判断を変える際に必要な弁論を開くことを決め、女性側敗訴の一審と二審が見直される見通しです。