2009年にシルバー人材センターに紹介された樹木剪定作業で骨折した男性(2013年に71歳で死去)の長女が、健康保険が適用されないのは不当として全国健康保険協会に不支給処分の取り消し、法整備を怠ったとして国に慰謝料など約80万円を求めた訴訟で、奈良地裁(牧賢二裁判長)は26日、原告側の請求を棄却しました。

判決などによりますと、男性は2009年11月、奈良県内の住宅にある庭木の手入れを委託されたが、作業中に石垣が崩れて足の指を骨折しましたが、センターと男性は雇用関係になく労災保険が適用されませんでした。また当時男性は、長女が加入する協会けんぽの被扶養者で、健康保険についても「業務上のけが」として適用されませんでした

判決で牧裁判長は、不支給処分について「男性の作業は業務に当たり、裁量権の逸脱はなく適法」と認定しました。

訴訟を契機に、シルバー人材センターの委託作業中インターンシップでのけがなど、労災も健保も適用されない「制度の谷間」の問題が表面化したことから、国は2013年10月に改正健保法を施行し、業務中のけがや病気で労災保険が適用されない場合に健康保険が適用されるようになりました判決は改正法の遡及適用も認めませんでした