大手複合機メーカー・リコーの技術職だった40代と50代の男性社員2人が退職勧奨を拒否したことで、子会社に出向させられたのは不当として元の職場への復帰を求めていた裁判で、東京地方裁判所は12日、「社員が自主退職することを期待して行われた出向命令とみられ、人事権の乱用」として出向命令は無効だとする判決を言い渡しました。

2人はプリンタの開発などを手がけていましたが、2011年5月、業績悪化により人員削減を進めていた会社側から希望退職を勧められ、これを断ったところ、同年9月に子会社でそれまでのキャリアと全く関係のない物流業務に携わるように出向を命じられたことについて、自主退職を促すという不当な目的に基づく人事権の乱用だとして、元の職場への復帰などを求めていました。

判決を受けて会社側は即日控訴しました。

物事の見方は単一ではない。
労働者側から見ると、解雇は生活する権利を一方的に奪うことになる。判例法理から発生した「労働契約法」は、会社側の解雇権を原則的に否定している。

一方、会社側には「人事権」があり、公序良俗に反しない限り、就業規則等に基づき「配置転換・出向等」の権限がある。今後、控訴審の判断を注視していきたい。

新日本製鉄在籍出向事件:詳しくはhttp://www.ne.jp/asahi/morioka/masato/roudou.htm#sinnihonsyukkou