「システム開発会社に勤務していた男性が自殺したのは長時間労働が原因だとして、遺族が約1億4000万円の損害賠償を求めた訴訟が大阪地裁であり、同社側が自殺と業務の因果関係を認め、解決金を支払うことで、今月16日に和解した。」という報道がありました。解決金の金額は未公表です。

男性は、システムエンジニアとして勤務していた平成25年9月にうつ病となり、翌年1月に自殺しました。
遺族側の代理人弁護士らによると、同社はチームリーダーだった男性を時間外手当の対象とならない「管理監督者」として自己申告で労働時間を管理していたそうです。男性が申告した残業時間は、自殺前の1年間で月20~89時間でしたが、所轄の労働基準監督署はパソコンの記録などから、実際は月127~170時間と推計。その自殺は「極度の長時間労働」が原因として労災認定もされているとのことです。

ここで紹介した事例は、その基準によって有無も言わさず労災認定される「極度の長時間労働(1か月に160時間以上の残業)」に該当する残業が行われていたケースということになります。
またもや・・・という感じですね。

過労死や精神障害による自殺が絶えない中、厚生労働省は、今月6日、「平成29年度過労死等防止対策白書」を公表しています。この白書は、平成26年に施行された「過労死等防止対策推進法」に基づいてまとめられたもので、今年で2回目の公表となります。
同白書によると、過労死や過労自殺による労災認定は、昨年度は191件にのぼり、平成14年度以降の15年間で、年間169件から224件と高止まりの状態が続いているとのことです。
また、同白書では、「労働時間を正確に把握すること」が「残業時間の減少」に繋がるとする分析なども行われています。
同省も、長時間労働の是正が急務と指摘していますが、労働時間の適正把握(正確な把握)が、そのスタートと言えるかもしれません。

参考までに、「平成29年版過労死等防止対策白書」を紹介しておきます。
<「平成29年版過労死等防止対策白書」を公表します>
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000179592.html