「平成27年2月に車にはねられて死亡した男子高校生の遺族が、先月27日、運転していた男性の勤務先の会社に対して1億9千万円の損害賠償を求めて地方裁判所に提訴した」という旨の報道がありました。
遺族側は、運転していた男性が、ガソリン代の支給を受けてマイカー通勤をしていたことから、同社にも責任があるとしています。

社員が起こした交通事故に関し、勤務先会社が被害者に対し損害賠償責任を負うか否かは、使用者である会社に、民法による使用者責任・人身事故の場合はさらに自動車損害賠償保障法による運行供用者責任があるか否かにより判断されることになります。
一般的には、
1.マイカーを通勤のみに使用し、社用(業務)には一切使用していない場合
→会社に責任なし
2.会社が積極的にマイカー通勤をさせ、通勤車両(マイカー)を社用にも使用させているような場合
→会社にも責任あり
3.1.と2.の中間的なケース(従業員が個人的な考えに基づき通勤車両を社用に使用しているような場合)
→判断が困難。ケースバイケース
その場合、継続性や会社が通勤車両につき便宜(ガソリン代・維持費等)を供与していたかなどの事情を総合的に考慮して、責任の有無を決定。
といった判断がなされます。

上記報道の件は、どのような判断が下されることになるのか、動向に注目です。

なお、マイカー通勤について、許可制をとっている会社が多いかと思いますが、車両管理規程などにより、マイカー通勤の要件、通勤車両の要件、原則として社用を禁止する旨、会社は一切責任を負わない旨などをしっかり取り決めておく必要があるでしょう。
特に、万が一に備えて、任意保険の加入を車両の要件に加えておくことが重要です。さらに、任意保険の期限切れがないように、定期的に注意を促すなどの管理を行うことも必要かもしれません。