長崎市の造船所で孫請けとして働き、アスベスト(石綿)によるがんの中皮腫になった男性について、労災認定を求めた審査請求で、長崎労働局が、同時期の別会社の下請け労働者の証言を基に不支給処分を取り消し、労災と認定していたことがわかりました。決定は10月9日でした。

男性は2010年、石綿が原因の悪性胸膜中皮腫と診断された。男性は1957~59年の約2年間、孫請けの個人事業主に雇われ大型タンカーの配管の溶接作業などで石綿を取り扱っていたという理由で、2012年11月、労災申請をしていました。

雇用契約があいまいな下請け・孫請け労働者など、在籍証明や同じ会社の労働者の証言が取れにくい人は労災が認められないケースが多いのが現実です。

この男性のケースは事業主は既に死亡し、同僚も見つからないことなどから、「石綿に直接関連する作業をしたと裏付ける資料がない」として2013年3月に労災と認めず、休業補償給付を不支給としていました。この男性のように労災認定された例はあまりないそうです。

男性は10月15日に亡くなっています。支援者らは不支給処分取り消しについて評価ながらも「証言を基に、もっと早く認定すべきだった」と労基署の対応を批判しています。