厚生労働省が6月27日まとめた試算によると、公的年金の水準について、1979年度生まれの現在35歳の夫婦の給付水準は、受給を始める65歳(2044年度)時点では50.6%あるものの、受給期間が長くなるほど低下し、85歳以降は40.4%まで下がることが分かりました。どの世代でも受給開始時は50〜60%台の水準ですが、90歳前後になると41.8〜40.4%まで低下します。
今年度65歳になる人が現役収入の6割強の支給を受けるのに対し、若い世代ほど、所得代替率が下がるのも早い傾向がみられます。今回の試算で世代間格差が顕著となりました。
今回の試算はいずれも、将来の実質賃金上昇率が1.3%で推移することとし、2015年度から2043年度までは、マクロ経済スライドの適用を前提としています。
この間の年金の伸びは物価上昇率よりも低く抑えられ、現役の賃金との開きはさらに大きくなります。
政府はモデル世帯(平均手取り月額34万8000円の会社員の夫と専業主婦の妻、夫婦は同じ年齢)の夫婦2人分の年金給付水準について、「50%を維持する」と法律に明記しています。
6月3日に公表した、5年に1度の財政検証結果でも、2015年度から2043年度まで労働人口の減少などに応じて毎年、年金を1%程度カットする仕組み(マクロ経済スライド)を導入し、2014年度の給付水準(62.7%)を徐々に下げていけば、2043年度以降は50.6%を維持できるとしていました。