「英会話教室の講師を務めていた英国籍の男性が、違法な雇止めをされたとして、運営会社に雇用継続などを求めた訴訟の控訴審判決が、令和元年(2019年)10月9日に東京高裁であり、請求を棄却した一審判決を取り消し、講師としての地位を認め、未払いとなっている給与の支払いが命じられた」といった報道がありました。
講師を勤めていた男性が記者会見を開き明らかになりました。
判決などによると、男性は、常勤講師として有期雇用契約(1年契約で1回更新)で採用されていましたが、平成28年(2016年)11月に育児休業等に先立ち年次有給休暇を取得したところ、会社側は認めず、無許可での欠勤として扱われました。
同社の年次有給休暇は、5日分を除いては、会社側が取得時季を指定して取得させる計画的付与のような制度をとっていましたが、計画的付与の採用要件である労使協定が締結されていなかったようです。
男性は、その件について、労働委員会に申し立てをしましたが、その審議途中の平成29年(2017年)2月に、勤務態度不良を理由に雇止めされたということです。
判決では、年次有給休暇について、計画的付与は無効で、すべての付与日数を自由に指定できると判断。
無断欠勤もあったようですが、それはストライキの実施によるもので「雇止めをするかどうかの判断をする際に考慮に入れるのは相当でない」として、本件の雇止めは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないと判断したとのことです。
トラブルの原因は年次有給休暇だったようで、企業としては、「年次有給休暇の取得時季・利用目的は、基本的に労働者の自由」、「年次有給休暇の取得による不利益取扱いは禁止されている」、「計画的付与を実施するためには労使協定が必要」といった年次有給休暇の基本的なルールは確実に押さえておきたいところです。
〔確認〕こちらのパンフレットでは、年次有給休暇の基本的なルールが易しく説明されています。
<しっかりマスター労働基準法/有給休暇編(東京労働局)>
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000501862.pdf